研究課題/領域番号 |
03208203
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 神戸市外国語大学 |
研究代表者 |
河野 守夫 神戸市外国語大学, 教授 (20073364)
|
研究分担者 |
牟田 弘 国立大阪病院, 耳鼻咽喉科, 医長 (40138087)
三浦 一朗 京都教育大学, 助教授 (00199944)
中嶋 鴻毅 攝南大学, 国際言語文化学部, 専任講師 (40089884)
杉戸 清樹 国立国語研究所, 言語行動研究部・第1研究室, 室長 (10099913)
大山 玄 徳島大学, 医学部・耳鼻咽喉科教室, 専任講師 (00223975)
|
研究期間 (年度) |
1992
|
研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
|
配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1991年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
|
キーワード | 聞きとりのメカニズム / echoic memoryのメカニズム / perceptual sense unit / productive sense unit / ジェスチャ-と音声言語 / 拍と音節の獲得 |
研究概要 |
1.聞き取り(listening)のメカニズムについて (1)聞き取りを行う際に、発話の流れを聞き手は一定の単位で区切って極く短い期間一時的に記憶する(echoic memory)と考えられている。この単位をperceptual sense unit(PSU)と名付ける。これについて脳梁損傷者、1才6ケ月から9才0ケ月の幼児、健常な成人を含む、1000名以上の被験者を動員して20回以上の実験を繰り返した結果、perceptual sense unitとは「聞き手が一気に(holistically)に知覚することが出来る7つ(±2)以内の長さを基準の長さとする音節群が伝える1つの意味単位」であることがつきとめられた。 (2)人間はある音節群をholisticallyに知覚するためには各音節が互いに300ms以内の短い間隔で結ばれていなくてはならない。Holisticallyに一気に知覚できる音節の数は大体7±2が限度である。一方、500ms以上間隔があくと各刺激を予想と検証の作業によって追跡する分析的知覚に切り替わる。両者は神経心理学に異質だが、listeningにはともに必要で、前者はPSUの形成に、後者はいくつかのPSU間の文法的意味関係を探る作業に深くかかわるuniversalな現象である。 (3)Hosticallyに知覚された音節群は、分析的に知覚された音節群よりも有意に長く、echoic memoryに格納される。 2.Productive sense unitについて PSUと同類とみられる単位が、吃および発話失行症患者の発話に、一定のprosody上の特徴を伴って、観察される。特に、後者の発話にはPSUに見合うproductive sense unitが存在する確たる証拠がある。 3.拍・音節と言語のリズムについて (1)1才6ケ月の幼児の発話にみられるリズム現象を規定する要因は、拍ではなくて音節である。 (2)言葉のリズムのlanguage specificな現象は各言語の音節構造と深い関係がある。 4.ジェスチャ-と言葉の知覚・認識について (1)lconixから談話の意味をとる作業は言語能力と高い相関関係がある。 (2)ジェスチャ-の単位は上記のPSUとほぼ、一致する。 (3)ジェスチャ-は発話と同期するか、それより早い目に生起する。この順を機械的に逆にして、ジェスチャ-を発話より1秒遅らせると、発話を理解する作業は有意に阻害される。 (4)母国語よりも外国語の発話でジェスチャ-が多用される。 (5)英米人は所作がおおげさだが、ジェスチャ-の使用率は日本人と変わらない。
|