研究概要 |
1.日本列島・東アジア・アメリカ大陸にかけての地域について,主として最終氷期の古地理・古気候・古生態に関する文献情報資料集を4冊作成した((1)アジア極北地域・北アメリカ地域における最終氷期以降の古環境に関する文献ー米倉伸之編,(2)シベルアの古環境に関マる文献集ー福田正己編,更新世末に絶減したアメリカ大陸の大型哺乳類に関する文献ー冨田幸光編,(4)中国・チベット高原における最終氷期以降の古環境に関する文献ー小野有五編)。 2.日本列島と東アジアについて最終氷期の氷河・周氷河環境について研究した。日本列島では最終氷期に山岳氷河が二期にわたって拡大した。それぞれ酸素同位体ステ-ジの2と4に対応し,さらにステ-ジ5dまたは6に対応する氷河拡大期も認められる。ステ-ジ4における東アジアの雪線高度は青海ー西蔵高原東縁で急激に低下すること,日本列島では日本海に沿う地域で雪線高度が低いことなどが明らかになった。 3.東アジア・シベリアの第四紀後半の哺乳動物相について,化石産地・産出化石に関するデ-タを収集し,また国際第4紀研究連合第13回大会(北京)に際して,中国各地の研究所・博物館などの所蔵化石標本を調査し,現地研究者と意見交換を行なった。その結果,中国・朝鮮半島、日本列島の中期更新世〜完新世の哺乳動物相について、昨年度以上に詳しく把握できるようになった。 4.日本列島および太平洋各地の海岸地形と海域堆積物について、既なの資料を整理して、完新世における海面変化について検討した。さらに南太平洋で収集されていたサンゴ礁試料について、放射性炭素年代測定を行ない、新たな知見を加えることができた。
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