研究課題/領域番号 |
03209211
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
鎌谷 直之 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (00114447)
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研究分担者 |
箱田 雅之 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70208429)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1991年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | モンゴロイド / 集団遺伝学 |
研究概要 |
我々の研究の目的は、遺伝病の遺伝子を調べることによって先史人類に関する情報を得られるかどうえを検討することであった。研究の結果、有益な情報が得られる可能性が強いという結果を得た。日本人に多いが他の人種には少ないAPRT欠損症の遺伝子を分析した結果、最高頻度で存在する病因対立遺伝子は同一祖先遺伝子に由来し、しかも連鎖不平衡より計算されるその年令は6ー9万年であった。即ち、現在日本人に広く分布する病因遺伝子には有史以前から存在するものがある。コ-カソイドでも、その人種だけ頻度の高い遺伝病が知られている(例えばアルファ-1ーアンチトリプシン欠損症、嚢胞性線維症など)。それらの疾患の最高頻度で存在する病因遺伝子の年令が計算されているが、おおむね1万年以下である。コ-カソイドよりモンゴロイドのほうが遺伝子の多様性に富む、という最近のデ-タがある。この差は突然変異率の札の反映であるか、集団の有効な大きさの差の反映である可能性がある。我々のデ-タも考え合わせると、人種分離以降の集団の有効な大きさが、モンゴロイドでコ-カソイドより大きかったことが示唆される。一般に重症な遺伝病がモンゴロイドで少ないことも同じ仮説により説明できる。遺伝病の遺伝子の起源が1万年以上も遡る可能性が強いことにより、先史人類の情報を与える可能性がある。しかも、遺伝病遺伝子は百万人をこえる母集団から得られたサンプルと考えられる。このように大きなサンプルから低頻度で存在するような同一起源の対立遺伝子を集めることは通常の遺伝学的方法によって困難であり、遺伝病遺伝子の分析により、通常の遺伝子分析では得られないタイプの有用なサンプルが得られ、ユニ-クな分析が可能であった。
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