研究概要 |
1.北アメリカの更新世哺乳類に関する文献は予想以上に多く、またシンポジウムなどのまとめとしてロ-カルな機関から不定期に又は単行本扱いで出版されているものも多く、入手に時間を要した。論文集に収載された論文は本研究課題にかかわる問題を比較的総括的に扱っているものが多く、全体を把握するには都合がよい。特に32点については詳しく検討した。 2.Martin and Klein(1984):Quaternary extinctionsは1980年代はじめまでにおける、更新世後期の大型哺乳類の大絶滅に関する研究の集大成であり、そのデ-タは最重要である。しかし、その中でMartinが北アメリカの更新世末に絶滅した大型哺乳類としてリストした33属については、それ以降いくつかの属に検討が加えられ、1990年現在31属とされている。 3.過去25年間に出版された ^<14>C年代のうち、絶滅に関してほとんど異論のない25属の大型哺乳類にかかわるものは307件あった。個々のデ-タをその信頼性の高さによって区別した結果、信頼性の高い年代のデ-タだけで見る限り、25属すべて10,000年(恐らく10,800年)前までに絶滅していることがわかった。しかも、シャスタナマケモノ、ウマ、キャメロプス(ラクダ)、アメリカマストドン、マンモスの5属はほとんど同時に絶滅したことも確かとなった。 4.しかしなお、絶滅の原因が人類による過剰殺戮なのか、あるいは急激な気候変動なのかを確定できるほどデ-タの精度は高くなく、その数も多くないのが現状である。 5.詳しく検討した文献は、A04班がつづけてきた文献情報資料集の第7号として編集・印刷した。
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