研究概要 |
セラミックスの高速滑りにおける摩擦・摩耗実験が行われた。 これは低密度,優れた耐熱性及び優れた耐摩耗性の利点を有する機械構造材としてのセラミックスの高速摩耗面(エンジン,ガスタ-ビン)への応用を考える上で必要な基礎的デ-タを収集することを目的とするものである。 以下に本研究で得られた知見を示す。 1.摩耗量 20000rpmまでの回転速度に対する摩擦・摩耗実験により滑り速度の増加により摩耗量が減少することが分かった。 2.摩耗表面 摩耗面の観察により,脆性破壊型摩耗と表面流動型摩耗の2種類の摩耗形態を確認することができた。さらに,滑り速度の増加にともない脆性破壊型から表面流動型に遷移することが確認された。 以上の結果より,高速滑り領域においては表面流動層の形成が摩耗に大きな影響を及ぼすことが分かった。そこで,引き続いてこの表面流動層(これをトライボ被膜と呼ぶ)の形成機構に関する研究が行われた。 以下にトライボ被膜に関する研究で得られた新しい知見を示す。 1.トライボ被膜の構成及び形成機構 トライボ被膜はサブミクロオ-ダの微細粒子と非常に滑らかな最表面により構成されていることが確認された。さらに,この微細粒子は微小破壊によって生じた微細摩耗粒子であることが確認された。 この結果よりトライボ被膜は,微細粒子の堆積と高圧・高温の摩擦条件下における微細粒子の塑性変形及び凝集により形成されるものと考察された。
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