研究課題/領域番号 |
03213212
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平尾 一之 京都大学, 工学部, 助教授 (90127126)
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研究分担者 |
田中 勝久 京都大学, 工学部, 助手 (80188292)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1991年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | AーWセラミックス / 人工骨 / 破壊じん性 / 塑性変形 / リン酸塩ガラス / 安定破壊試験 / 粒界ガラス相 / ガラス構造 |
研究概要 |
セラミックスの破壊挙動は粒界相の影響を大きく受ける。特にアパタィト-ウオラストライトガラスセラミックス(AーW結晶化ガラス)では粒界相に多くのガラス相を含むので、その影響は極端に大きい。本研究では種々のガラスについて破壊特性を調べ、より機械特性のすぐれたAーW結晶化ガラスの人工骨を作るための知見を得ることを目的とした。得られた成果は次の通りである。 (1)ケイ酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス、リン酸塩ガラスなどの試料をシェブロンノッチを入れ、安定破壊試験に供した。その結果、塑性変形量は、ホウ酸塩ガラスで最も大きく、全変位量の30%も塑性変形をおこしていることが分かった。リン酸塩ガラスも20%近くの塑性変形をおこしており、与えられた破壊応力の弾性エネルギ-をうまく散逸させているといえよう。一方、ケイ酸塩ガラスでは全く塑性変形をおこさなかった。これらの相違をガラス構造の観点からみると、ホウ酸塩ガラスやリン酸塩ガラスでは、その構造中に層状や鎖状の分子構造を有しているので、すべりやすいが、ケイ酸塩ガラスでは、頂点共有の三次元構造をとっているので、すべることができないといえる。このことより、人工骨の破壊じん性を上げるには、ホウ酸やリン酸塩ガラスを粒界相に含ませるよう組成選択を行なうことが必要であることが分かった。 (2)上記のガラスと生体親和性を調べたところ、ケイ酸塩ガラスとリン酸塩ガラスがすぐれていることが分かった。 (1)と(2)を総合的に評価すると、リン酸塩ガラスをセラミックス粒界ガラス相に含むことが最も適しているといえよう。この成果をもとに、さらに破壊特性のすぐれた人工骨セラミックスを合成することが期待される。
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