研究概要 |
本研究においては,AgーCu合金を主成分とし,活性金属として,Tiのみを添加したもの,およびTiと同時にZr,Al,Mnを添加したものをろう材とし採用し,Si_3N_4とインコネル600との接合を行った。 接合性の評価に先立ち,最適Ti量を検討するため,濡れ性の測定を行い,添加するTi量は2%と決定した。このように決定した理由はTi量が多くなるにともない,Si_3N_4に対するろう材の濡れ性は大きく改善されたが,5%以上のTi量では溶融ろう材がSi_3N_4上を完全に濡らすため,接触角が25゚前後となる2%を選択した。 種々の条件で接合性の検討を行ったが,もっとも良好な接合性を示したろう材は71Agー27Cuー2Tiろうであったため,接合性の評価は主に71Agー27Cuー2Ti系について行い,一部比較のために,68Agー27Cuー2Tiー4Zr,36Agー40Cuー2Tiー20Al,24Agー49Cuー2Tiー25Mnの各々についても行った。 もっとも良好な接合性を示した71Agー27Cuー2Tiろうを用いた場合においても,常に良好な接合対が得られたのではなく,その接合性は,実験条件,特に接合温度,に大きく依存した。たとえば,71Agー27Cuー2Tiろうを用いても,1173K,1.8ksでは,ろう材が接合部から漏れ出して,接合は不可能であった。このろう材を用いても,接合温度を1103Kにすることにより,4点曲げ強度が200MPaに達する接合対が得られた。 また接合処理後の冷却条件も接合強度に大きく影響し,冷却速度が3K/s以上では冷却後すでに界面において,亀裂が観察された場合があったが,1K/s以下の冷却速度では,冷却時の熱応力が緩和され健全な接合対を得ることができた。 また活性金属としてTi以外のZr,Al,Mnを用いたろう材による接合性は本研究の条件下ではTi含有ろうに比べて満足できないものであった。
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