研究課題/領域番号 |
03215207
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小宮山 真 東京大学, 工学部, 教授 (50133096)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1991年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | シクロデキストリン / リボ核酸 / 位置選択的加水分解 / アルカリ金属塩 / 協同触媒作用 |
研究概要 |
シクロデキストリン(CyD)は、複合体形成ならびに触媒作用において特異性を示す興味あるホスト化合物である。すでに、我々は、CyDを触媒とすることにより、リボ核酸(RNA)の加水分解の中間体であるリボヌクレオシド2'、3'ー環状リン酸を位置特異的に加水分解できることを明らかにした。また、本重点領域研究の初年度ならびに第2年度に、この知見を発展させ、CyDとアルカリ金属塩化物との協同作用によりCyDの位置特異的触媒作用を増進することに成功した。 今年度は、CyDとの協同作用により一層高い選択性を実現する添加物を探索した結果、アルカリ金属フッ化物がアルカリ金属塩化物よりもはるかに大きな増進活性を持ち、アデノシン2'、3'ー環状リン酸(A>p)を高選択的に開裂することを見出した。反応系において生成するCyD複合体の構造をNMRならびに紫外吸収スペクトル測定により検討し、βーCyDとA>pとの2成分複合体が生成していることを明らかにした。これは、KCl系では、塩素イオンがβーCyDに包接され、ΒーCyD、A>p、ならびに塩素イオンから構成される3成分複合体が形成されるのとは対照的である。このように、ハロゲンイオンの関与なしに[βーCyD・A>p]複合体が形成され、A>pがCyDの空洞に深く包接されることが、KFがKClよりも大きな増進効果を持つ理由である。実際、この2成分複合体におけるA>pのβーCyDの空洞に対する包接の深さは、対応する3成分複合体におけるよりも、約2Aだけ深いことをNMRにより確認した。さらに、温和な条件で核酸を迅速かつ特異的に開裂するCyD複合体の分子設計を指向して、核酸を効率的に加水分解する触媒を探索した結果、オリゴアミン類、コバルト(III)錯体類、ならびに希土類金属イオンが著しい活性を持つことを見出した。
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