研究課題/領域番号 |
03215229
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
鈴木 啓介 慶応大学, 理工学部, 助教授 (90162940)
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研究分担者 |
松本 隆司 慶応大学, 理工学部, 助手 (70212222)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1991年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 前周期遷移金属 / 有機合成反応試剤 / カオチン錯体 / グリコシル化反応 / 天然物合成 / 複合反応試剤 |
研究概要 |
カチオン錯体の示す、ルイス酸としての独特の反応性に着目し検討を加えた。すなわち、アセチレンのヒドロジルコニウム化反応によって得られるアルケニルジルコニウムは、カルボニル基に対する付加反応性に乏しい。しかし、過塩素酸銀(触媒量)により反応は著しく促進され、高収率でアルケニル化体を与えることを見出した。発生するカオチン型錯体による効果的なカルボニルの活性化が起きるためと考えられる。この効果は、オレフィンより調製したアルキル錯体でも見られる。この反応形成をプロパルギルシランに適用すると、付加に続いて1、4ー脱離により、ジエンを与えた。さらに離囲を拡大し検討を加えた結果、NbCl_5がルイス酸として特異な反応性を示すことを見出した。例えば、桜井反応では、1当量目のアリルシランの付加に続き、ニオブアルコキシドの脱離とホモアリル型の隣接基関与により、最も安定なカオチン種が2当量目のアリルシランによる捕捉が起き、シクロプロパンを含む2重付加生成物を与えた。さらに、2級ホスフィンのカルボニル化合物への付加反応でも、最初の単純な付加に続く分子内酸化還元過鍋をNbCl_5が特異的に触媒することが分った。 一方天然物合成への応用としてアリ-ルCーグリコシド系抗生物質の合成研究を行った。この種の化合物は、その構造のみならず、抗腫瘍性など生理活性的にも注目されている。ここで、合成上の最大のポイントであるCーアリ-ルグリコシド結合の形成に新たなアプロ-チを開発した。すなわち、ルイス酸条件下、フッ化糖と遊離のフェノ-ルとの反応を行うと、低温で速やかにOーグリコシド化が起こる。続いて、徐々に、昇温するとOーグリコシドからCーグリコシドへの変換が起き、フェノ-ル性水酸基のオルト位に選択的にCーグリコシド結合が形成される。この反応は、通常のルイス酸でも進行するが、収率、選択性などの点でCp_2HfCl_2とAgClO_4との複合系がはるかに優れていることが分った。この反応を利用して、ビネオマイシノンB_2およびギルボカルシンMの全合成を行うことに成功した。
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