研究概要 |
超新星とその関連天体における元素合成を以下のようにして調べた。 1.超新星1987Aの光度曲線の観測と、爆発的元素合成により生成された放射性元素^<56>Coの崩壊率を使って求めたものを比べると、爆発後800日を越える頃からずれてくる。この原因が、爆発的元素合成で生成された放射性元素^<57>Coや^<44>Tiの量の理論的不確定性からくるのか、爆発後残されたと推定されている中性子星が原因なのかを究明することが極めて重要な課題となった。そこで、超新星1987Aに関する爆発的元素合成の計算結果を再検討した。その結果、恒星進化理論と元素合成理論からは、理論の不確定性の範囲内で、^<57>Coや^<44>Tiの量を変えても光度曲線のずれを説明することが困難なことを明かにすることが出来た(Kumagai,Shigeyama,Hashimoto,and Nomoto 1991)。 2.1991年、超新星1987Aの回りに、リング状の星周物質がハッブル望遠鏡により初めて観測された。このリング生成のメカニズムとして、爆発前の星の回転の効果をしらべた。その結果、一般的に、星の進化の後期段階で、回転と関連した星風がその可能性として考え得ることを示すことができた(Eriguchi,Yamaoka,Nomoto and Hashimoto 1992). 3.恒星内部以外を対象とする元素合成の研究として、降着円板内部の構造と元素合成の可能性を調べた。粘性パラメ-タを使った一次元化した降着円板のモデル、及び自己重力を含む2次元トロイドの平衡形状の構造を調べルことにより球体称の星と同様に核燃焼が起こり得ることを明らかにした(Hashimoto,Eriguchi,Arai and Mueller,1992)。
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