研究課題/領域番号 |
03219103
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 光昭 東京大学, 医科学研究所, 教授 (80012607)
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研究分担者 |
渋田 博 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70012721)
五條堀 孝 国立遺伝学, 研究所, 教授 (50162136)
大野 典也 慈恵医大, 医学部, 教授 (60147288)
中田 篤男 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (80029769)
足立 昭夫 京都大学, ウィルス研究所, 助教授 (90127043)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
46,700千円 (直接経費: 46,700千円)
1991年度: 46,700千円 (直接経費: 46,700千円)
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キーワード | エイズ / HIV / SIV / rex遺伝子 / Gag蛋白質 / Env蛋白質 / 進化速度 / キメラ粒子 |
研究概要 |
HIV遺伝子の構造と機能に関する研究は、昨年度に引き続き、本年度も以下のように大きく進展した。HIVのrevと同様な作用を持つHTLVーIのrex遺伝子の作用の細胞特異性を検討したところ、ヒトやサルの細胞ではLTRからの遺伝子発現を著るしく促進したが、マウスやハムスタ-の細胞では、促進効果をほとんど示さなかった。HTLVーIの宿主域を転写段階で決定する細胞側の因子の存在が示唆される(吉田)。カニクイザルに感染するHIVー1/SIVmacのキメラウィルスの作製に成功した。このキメラウィルスはHIVー1のenv遺伝子を持つため、HIVー1のワクチンの検定やサル個体におけるHIVー1のenvの機能解析に有効な実験系と考えられる(足立)。昨年度のGag及びNef蛋白質に続き、今年度はEnv及びPol蛋白質を大腸菌で大量に産生させ、高度に精製した。特にEnvの512番目から611番目のアミノ酸からなる蛋白質は、41例の患者血清全てと反応し、高感度の診断試薬として有望と思われる(中田)。HIVー1MN株のV3領域に対する単クロ-ン抗体を作製し、この単クロ-ン抗体と補体とにより、HIVウィルス粒子の溶解現象が起こる事を電子顕微鏡及びウィルス学的に証明した。抗HIV療法への応用が期待される(大野)。HIVの分子進化速度を推定したところ、同じRNAウィルスのインフルエンザウィルスとほぼ同程度で、真核生物核遺伝子の約百万倍の速度で進化する事がわかり、今後のワクチン開発への示唆が得られた(五條堀)。HIVー1とHIVー2のGag蛋白質が集合してキメラの粒子を作り得ることから、Gag上の粒子形成のための機能構造がHIVー1とHIVー2間で保存されている事が明らかになった。この事からGagの分子集合を標的とした抗ウィルス療法は、HIVー1とHIVー2の両者に有効である可能性が開けた(渋田)。
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