研究分担者 |
山西 弘一 大阪大学微生物病研究所, 麻疹部門, 教授 (10029811)
岩崎 琢也 国立予防衛生研究所, 病理部, 室長 (90146027)
松田 道行 国立予防衛生研究所, 病理部, 研究員 (10199812)
小島 朝人 国立予防衛生研究所, 病理部, 室長 (30100077)
佐多 徹太郎 国立予防衛生研究所, エイズ研究センター, 室長 (00162397)
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研究概要 |
HIV感染後永い潜状期を経て発症する機序についてはまだ全く不明である。HIVの標的細胞であるCD4陽性細胞は,山西らの研究で同時にヒトヘルペスウイルス6(HHV6)の標的であることが明らかになった。また昨年度我々には,PGL期のリンパ節において,HIVの分布域はリンパ節濾胞の樹状突起細胞であるのに対し,同じ細胞を標的とするHHV6は,濾胞周囲のマクロファ-ジおよびリンパ球であることを明らかにした。そこで今回は,ほぼ全員が感染保有しているHHV6と,B細胞を標的とするEBVの動きについて,ACおよびARC患者の末血細胞を用い,これらヘルペス群のウイルスが,どのように関与しているかを検討した。ACまたはARC期4名のHIV感染者から末血を採取し,リンパ球分画を得た採取間隔は7ケ月から15ケ月であった。患者は全員血友症であった。治療にはAZT,IFNーα,DDIが使用されていた。ドフトブロフトハイブリダイゼイション法により,同一患者由来の検体間で,両ウイルスの核酸の存在量に変化があるかをみたところ,4例中1例のAC期で,EBV核酸の増加が認められ,またARC期の1例でHHV6核酸の一過性の増加が認められた。両ヘルペス核酸の増加はこれらのウイルスの増殖を示唆するものと思われ,潜状または不顕性感染状態のEBVおよびHHV6の再活性化の可能性が考えられる。両ウイルスは日和欠感染として増殖し,一方HiVの標的細胞を活性化し,HIV感染者の病状の重篤化をおこす可能性を示唆するものである。
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