研究概要 |
大腸菌のセリン感受性に影響を与える遺伝子群とpH感受性に影響を与える遺伝子群について以下の点を明らかにした。 1.セリン感受性に影響を与える遺伝子群について。 大腸菌は最少塩培地でグルコ-スや乳酸などを炭素源として生育することができる。ところが、これにバリンやセリンを加えると生育できなくなる。バリンによる生育阻害についてはよく解析されているが、セリンによる生育阻害がいかにして起こるのかは不明のままであった。私達はセリンによる生育阻害が、イソロイシン生合成系のホモセリンデヒドロゲナ-ゼ阻害によるものであることを明らかにした。そして、セリン感受性に影響を与える遺伝子群をクロ-ニングした。それらの中の1つsse遺伝子について、塩基配列の決定を行った。その結果、238アミソ酸残基よりなる(分子量26,108)SseAタンパク質をコ-ドするsseA遺伝子と、213アミノ酸残基よりなる(分子量23,750)SseBタンパク質をコ-ドするsseB遺伝子が、それぞれ単独で、セリン感受生を増大させることがわかった。なお、SseAタンパク質は牛肝臓のロダネ-ゼと一次構造の類似性があることがわかった。 2.pH感受性に影響を与える遺伝子群について。 大腸菌の野生株はpH8.5から9.0位までのアルカリ性条件下でも生育できる。私達はpH8.5以上の条件下では生育できない変異株を分離した。この変異を補う遺伝子群をクロ-ニングし、その1つについて塩基配列を決定した。
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