研究概要 |
大腸菌リボゾ-ムの生合成過程に関与する遺伝子として、我々は新しくrba遺伝子を得た。このrba遺伝子は、その解析の結果、rbaA,rbaBの2つの異なった遺伝子で、大腸菌染色体地図上、55分近傍に別々にマップされた。rbaAはrnc遺伝子と同一オペロンに発現するera遺伝子と同じ遺伝子であることを昨年報告した。rbaB遺伝子はrnc遺伝子の約10Kb下流のnadB遺伝子に隣接したEcoRIーPvuII間4.5Kbの領域が我々の得たrbaB変異体の低温感受性を相補することが証明され、この領域の塩基配列を決定した結果、約50,000の分子量をもつ蛋白質をコ-ドするORFがみいだされた。EcoRIーPvuII間4.5Kbの両端からDNAを削ったクロ-ンを多数作製し、変異株の低温感受性との相補試験の結果、rbaB遺伝子産物は1332B.Pにコ-ドされる分子量49,911を示す蛋白質であると考えられる。アミノ酸homology searchの結果この蛋白質はhelicase familyに分類されるsrmBと同じ塩基配列であることが判った。(srmBの染色体地図上の位置は不明である。)我々の得たrbaB変異株の変異部位を決定した結果、rbaB遺伝子は必須遺伝子ではないと考えられる。rbaB遺伝子変異の結果,前駆体17SrRNAの蓄積がみられた。更にこれらリボゾ-ムアッセンブリ-遺伝子群の構成を明らかにする目的で、rbaAーrbaB近傍の塩基配列を決定した。本研究により結局この領域で新たに合計約10Kbの塩基配列が決定できたことになる。
|