研究課題/領域番号 |
03223213
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
堀内 桂輔 大分医科大学, 医学部, 助教授 (50183603)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1991年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ケ-ジドATP / 閃光分解 / スキンドファイバ / エネルギ-変換 / 収縮 / 張力トランジェント / 硬直状態 / キネティクス |
研究概要 |
筋収縮蛋白はATPの加水分解によって、ATPの化学エネルギ-を収縮の力学エネルギ-に変換する。本研究では、ケ-ジドATP閃光分解による急速な筋細胞収縮のトランジェントを解析するという方法により、上記エネルギ-変換メカニズムを考察することを試みた。pH色素の蛍光信号の同時測定によって、トランジェントにおけるプロトン遊離と張力発生の関係を調べることが当初の予定であったが、予備実験の途上で、張力トランジェント自体に新しい発見があったので、それに焦点を絞って本年度の研究を進めた。 ラット脹腰筋から得たスキンドファイバ標本を先ずATP無しCa有りの硬直状態に置いた。実験温度は15℃。大量ATP(約400μM)のパルスをケ-ジドATP光分解によって標本に与えると、既に知られているような速さで、弛緩とそれに引き続く収縮とが観察された。大量ATPによる活性化の前に生理的な収縮状態を実現するため、予め少量ATP(約100μM)のパルスを標本に与え、それが消費尽くされた頃(約600ms後)に上記と同じ大量ATPを適用し、この時のトランジェントを対照と比較した。予め少量ATPで活性化した標本では、大量ATPによる一過性の弛緩が小さく、それに不釣り合いに収縮が速かった。モデルによる解析では、弛緩が約2.6倍遅いだけではなく、引き続く収縮が約3.6倍速くなっていると解釈された。 従来、硬直状態は収縮の中間状態の最後のひとつであると考えられてきていた。しかし上記のように、収縮状態から始めたトランジェントが硬直状態からのトランジェントより速い収縮を示したから、「硬直は収縮の最終状態である」という従来の仮説は誤っている可能性がある。硬直は、ATP不在下においてのみ現れる非生理的な状態であるのかもしれない。
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