研究課題/領域番号 |
03225202
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
栗原 堅三 北海道大学, 薬学部, 教授 (00016114)
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研究分担者 |
松岡 一郎 北海道大学, 薬学部, 助手 (40157269)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1991年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | トランスミッタ-放出 / Ca流入 / ノルエピネフリン / ボツリヌス毒素 / 神経細胞 / 神経分化 / セロトニン / アセチルコリン |
研究概要 |
神経細胞におけるトランスミッタ-放出機構のうち、とくに神経終末にCaイオンが流入してからトランスミッタ-が放出するまでの過程は、依然として不明である。本年度は、ラット胎児初代培養細胞をジギトニン処理し各種薬物に対する透過性を増大させた標品を用いて、系統的な実験を行った。細胞外液のCa濃度を変化させると、細胞内Ca濃度を変化させることが出来る。ノルエピネフリンの放出は、0.1μMのCa濃度から起こり、100μM付近で飽和した。セロトニンの放出も同様なCa濃度依存性を示した。外液のCa濃度が10μMでも、100mMに増大させた場合でも、ボツリヌス毒素(C型)は上記のトランスミッタ-の放出を完全に抑制した。このことは、ボツリヌス毒素がCa流入以降の過程を阻害することを明確に示した。また、伝達物質の種類を問わず、その放出過程には共通の機構が存在することが示唆された。 一方、ラットの胎児脳神経細胞および各種の神経系のクロ-ン細胞にグリア細胞由来の神経分化因子を作用させ、伝達物質合成能の発達を調べた。グリア細胞由来の分化因子は、これらの細胞のアセチルコリン合成酵素の誘導を引き起こし、逆にカテコ-ルアミン合成の律速酵素であるチロシンヒドロキシラ-ゼの活性を抑制した。このように、神経がある一つの伝達物質を選択すると、他の伝達物資の合成が抑制されることが明らかになった。グリア細胞由来の分化因子を用いた場合は、アセチルコリンの合成酵素が誘導されると、コリンの取り込み能が増大したが両者が同じ遺伝子により制御されているかどうかは不明である。たとえば、レチノイン酸はアセチルコリン合成酵素を誘導したが、コリン取り込み能には影響を与えなかった。おそらく、アセチルコリンの放出機構も、一個の遺伝子で制御されているのではなく、複数の遺伝子で制御されているものと考えられる。
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