研究概要 |
本年度は,昨年度の札幌市についての調査の補足,および新たに旭川市と函館市を研究対象として,都市的土地利用の変化過程を分析した。研究成果は,1991年7月の国際シンポジウムと1992年3月の公開シンポジウムで発表し,それぞれの報告書と札幌市の編集になる単行本に掲載された。 旭川・函館市についての分析成果を要約すると,下記の通りである。 (1)500mメッシュデ-タに基づき市街地範囲を検討すると,戦前は両市の市街地がほぼ同様の広さを有したが,昭和40年代になると旭川市の方が約1.5倍広くなった。ただし,両市とも昭和40年代から現在までは,あまり市街地拡大が見られず,この期間に市街地の倍増した札幌とは大きく異なる。 (2)100mメッシュデ-タに基づき都市内部の機能地域を比較すると,函館市は旭川市に比べ,温泉町の湯川地区があるため娯楽施設のメッシュ構成比率が高く,また中心地が分散しているため,業務施設や店舗施設からなる都心地区が不明瞭であり,両施設のメッシュ構成比率も低い。 (3)店舗単位のの析からみた旭川都心地区の戦前から現在までの最大変化は,工業・都市運営・娯楽施設の減少とこれに対する業務施設の急増,各ブロックにみられる施設種類数の減少である。つまり,ビル化を通じ,建物規模が大きくなり,業務施設を中心に,建物用途の純化がみられたのである。 来年度は,地方小都市である滝川,千歳・恵庭市の調査を進め,比較・考察することにより,北海道(わが国)における都市規模別にみた都市的土地利用の変化に関する一般的理解に接近したい。
|