研究概要 |
木曽の森林の中から対象地として上松宮林署北小川国有林を選んだ。この地域は木曽の天然林を代表する地域であり、その施業も国有林を代表するからである。現在の森林現況を出発点として、その変化を過去へさかのぼる手法を用いた。1987年現在の森林基本図と森林調査法とを長野営林局から借用した。1/5000の基本図を地理情報システムプログラムGISKitにより、林小班界をポリゴン法により数値化して計算機媒体に記録した。次に、森林法により小班の林分内容,とくに木曽ヒノキ天然林から人工林への変換した年次を整理した。 ポリゴン化された林小班はXYプロッタ-により地図として再現し、それに天然林,人工林の区別を色塗りした。この地図作成は1987年の現況から1900年までさかのぼり作成することが出来た。その結果として、現在から過去約100年間における木曽の天然ヒノキ林の消滅過程を表現するデ-タベ-スを作成することが出来た。これらの森林変化が生じた地域の社会条件の変化と、国有林管理手法の時代的な背景とを文献により整理した。この手法は木曽国有林に限らず過去の森林の変化を現況からさかのぼり調査する場合に適用できる。なお、木曽の森林変化を示す。カラ-地図はアトラスとして出版される予定である。 この研究成果は環境変化をGIS国際会議(1991年),日本林学会(1992年),および林業技術誌(1992年)に発表された。
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