地表形態を自己アフィンフラクタルと考えれば、非整数ブラウン運動のスケ-リングパラメ-タ-(H)と同等のH^1でその性質を数量的に表わすことが可能である。計測は、まずある表面積を用いて区間分けを行い、それぞれの区間内の表面積(S)、底面積(A)、および計測点の高度の分散(Z^2)を求め、平均値をこの区間におけるそれぞれの計測値とする。さらに、区間の大きさを変えて計測を行い、Z^2〜S^V_Z、A〜S^V_Aの回帰式およびH^1=/V_Z/V_Aから計測範囲全体のH^1を求める。地形の場合はV_A〓1であるため、直接Z^2〜A^H^1を用いることも可能である。また、起状の大きさの表現として、ある底面積に対応するZの値(Zi)を用いる。1/25000地形図上の125m(80×80)メッシュ標高デ-タを用いた計測(4地域)からは、地形景観から受ける印象と予盾しない値が得られた。(槍が岳0.72;丹沢山0.61;八溝山0.48;磐城片貝0.46)。さらに、全国規模での地表形態を表現するために、国土数値情報の標高デ-タを用いて、H^1、Ziの計画を行った。この場合、メッシュが正方形でなく、緯度によって間隔が異なるため、2次メッシュごとに距離の補正を行い、面積の計算に長方形となる基礎メッシュを用いた。計測は2次メッシュを1単位として行い、予察的ではあるが ほぼ妥当な結果が得られた。H^1の特に大きい値は、Ziの値にかかわらず、比較的新しい火山、高い残丘状地形、あるいは断層運動によると思われる地塁状山地が分布するところに集中している。中部山岳地帯はH^1もZiも比較的大きな値をとるが、紀伊山地ではZiは大きいがH^1は小さく、高度のそろっている高原状の山地を深い谷が刻んでいることを示唆している。
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