研究概要 |
1.首都圏の道路網のように,構成要素が莫大で,通常の離散的ネットワ-クの解析手法では解析が困難な場合に,それを連続場とみなして,その上で最大流問題や最小費用流問題等を定式化し,これを逆に離散化して数値的に解く方法の有効性を確認した. 2.道路網ネットワ-クにおける道路セグメントの重要度をグラフ理論の立場から評価するために,Shortest Path Counting Problemという問題を提案し,格子状,扇形,円環状,等の幾何学的に単純な種々のネットワ-クに対して,理論的に厳密な解を得た.一方,首都圏,甲府市,岐阜市,等の実在の道路網に対しても,ダイクストラ法によって最短経路を求め,道路セグメントが最短経路に含まれる度数の分布を調べた結果,前述の理論解との間,及び現実に観測される交通流との間に興味ある対応関係が見られた.今後は,さらに現実的な条件を考慮した上での分析や,二つの都市を結ぶ複数の道路を建設する際の適切な道路の位置の策定に資する数理モデルの作成,等を試みることを考えている. 3.道路や信号の適正な配置を計画するのに資するという観点から,1本の道路に沿っての信号の密度と車の平均走行速度との関係を表すモデルを作成した.次に,筑波研究学園都市で走行速度を実測し,そのデ-タを分析することによって,本モデルの有効性を検証した.さらに,最適な道路の密度を算出する式についても考察を行なった.
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