研究分担者 |
大里 有生 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (20143737)
清水 武明 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (70126473)
乾 侑 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (00134966)
小林 信一 文教大学, 国際学部, 講師 (90186742)
塚原 修一 国立教育研究所, 社会工学, 室長 (00155334)
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研究概要 |
我が国の経済社会を支える高度技術はどのようにして成立したか。本研究は,特に我が国企業の技術開発が,一方で国際的な連関において,また他方で国内他研究機関なかでも大学との連関において,さらには企業内組織間の連関において,いかにして成立したか,その実像を実証的に明らかにすることをめざす。 今年度は,解析法を確立するための試行的な分析を行った。対象技術領域としては,大型輸出商品でもあったVTR,および次世代ハイテク技術と目されるSOR等を中心に取り挙げた。解析法としては,特許情報と学術情報から成る知的デ-タベ-スを研究者レベルで分析し,特許情報と学術情報を照合することにより,高度技術と基礎科学の相互連関性の構造化を試みた。知的デ-タベ-スの解析は,従来機関レベルまでの数量分析にとどまっていて,上記のような試みはまだ例をみない。 特許の共同発明者および学術文献の共同研究者を手掛りとして研究グル-プを同定しその展開過程を構造化すると,そのパタ-ンから次の諸点が明確になった。VTRでは,研究開発は各企業毎にほぼ独自に行われていて,その内部構造としては,例えば日本ビクタ-の場合,(1)同一研究グル-プ内に学術情報を主に発表する研究者と,もっぱら特許申請にのみ関わる研究者とが混在していて,「開発研究」型の組織である。(2)同一研究者に関し特許と学術情報の出理順序を監理すると,全て一連の特許出願が行われた後学術情報が発表されるニ-ズプル型である。(3)研究開発の動的機構としては,ノンリニア-な「細織成長」型である。また,SORは,電総研とNTTをそれぞれ中心とする2研究機関グル-プに分かれて進められていて,この内分析を行ったNTTと日立の各最大研究グル-プでは,VTRと同様のパタ-ンであることが判明した。このように,ここで試みた分析手法はきわめて有効である。
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