研究概要 |
前年度に行った高度技術に由来する環境および健康リスクのマネ-ジメントとコミニケ-ションの日米比較の結果を受け,本年度は物質変換と利用の高度技術の安全性評価の断面として,事後対策の特徴と未然防止対策の特徴をまとめ、多元的判断を要する集合的グロ-バル・リスクへの方向づけを行った。 事後対策の特徴としてPCBの焼却処理を事例とした検討から日本におけるリスク・マネ-ジメントの要件として,(1)行政や事業者の責任体制の明確化,(2)目標達成までの段階的合意形成過程の重視,(3)状況を柔軟に取り込み熟度をあげる適応制御型マネ-ジメント,(4)多重の安全性の確保や運営上の市民関与の推進,が挙げられ,リスクコミュニケ-ションの特徴として,(1)専門家間での適切なコミニケ-ション,(2)行政スタッフの果たす調整的役割,(3)市民への包括的かつ木目の細かい対応,(4)合意形成を促進する先導的な情報提供源としてマスメディアへの期待,の4項目にまとめられた。 未然防止対策の事例として,ガリウム・七素半導体を取り上げ,企業への質問紙調査から,消費後の半導体部品の回収・リサイクルは困難であり,製品全体の設計思想からの総合的な変更が必要であるとの共通認識がある一方,徴量化学物質のリスク観は二分し,物流代謝情報の技術的管理策でリスクを軽減させたい意向をもつ。また,業界,回収業者,行政,市民との連携を構想していることも明らかになった。ついで,このような高度技学技術に由来するリスクを評価するために,リスク軽減度とシステム変更の困難度を定性的に評価・比較する手順を検討した。 最後に,地球境環問題の登場とともに要請されつつある製品の環境保全性と費用負担,産業振興上の配慮・実行可能性を技術的に評価する方法を予備的に検討した。
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