研究課題/領域番号 |
03230101
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小泉 格 北海道大学, 理学部, 教授 (20029721)
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研究分担者 |
野村 律夫 島根大学, 教育学部, 助教授 (30144687)
加藤 道雄 金沢大学, 教養部, 助教授 (10093741)
原田 憲一 山形大学, 理学部, 助教授 (90134147)
大場 忠道 金沢大学, 教養部, 教授 (60013588)
高山 俊昭 金沢大学, 教養部, 教授 (40004361)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
30,000千円 (直接経費: 30,000千円)
1991年度: 30,000千円 (直接経費: 30,000千円)
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キーワード | 日本海 / 国際深海掘削計画 / 白黒ラミナ / 氷期・間氷期 / 珪藻含有量 / 酸素同位体 / 還元的海底環境 / 対馬暖流 |
研究概要 |
日本列島の気候・植生に重大な影響を与え、ひいては日本文明の盛衰に決定的な影響をもたらした、日本海の海洋環境の変動を過去70万年間にわたって明らかにした。使用した試料は、国際深海掘削計画の水圧式ピストンコアラ-による日本海深海底6地点からの固結度の低い第四紀細粒堆積物である。この堆積物は白黒の明瞭な縞模様を呈い、リズミカルな互層が出現する時代およびそのコントラストが明確になる時代は、微化石層序と古地磁気層序から、どの地点でも各々250万年前および130万年前である。これらの時代は、各々北半球に本格的な大陸氷床が形成され始めた年代および氷期での氷床規模が最終氷期とほぼ同じ規模になった時代にほぼ対応している。 797と794の両地点における珪藻含有量の変動曲線は、第四紀の氷期ー間氷期の指標として広く利用されている有孔虫殻の酸素同位体比の標準変動曲線と非常に良く鋸歯状の形態が似ている。氷期においては、砕屑物粒子の最大粒径が大きくなると共に石英、イライト、カオリナイトが卓越する。一方、間氷期にはスメクタイトが卓越する。珪藻と有機炭素は、間氷期のある時期に高い値を示し、硫黄は氷期の低海水準期に高い値を示す。氷期に硫黄含有量が高いことは、底層水が非常に還元的で硫化水素の発生していたことを示す。氷期には海洋表層が低塩分水に被われ、海洋の成層構造が発達して鉛直混合が弱まったため、海洋は還元的になったと考えられる。 798地点における底生有孔虫殻の酸素同位体比変動曲線は、浮遊性有孔虫殻のそれと同調していない。氷期と間氷期の周期的変化による海水の酸素同位体変化が底層水まで及ばなかったことによると考えられる。浮遊性有孔虫殻の酸素同位体比曲線は周期的に変動し、それに同調して対馬暖流系の温暖種が出現し、対馬暖流の流入を示唆する。
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