研究概要 |
本研究課題の実施にあたって,最初に行なわねばならない重要なことは,日本列島西部の各地から花粉分析に適した良好な第四紀堆積物を採取することである。今年度入手した試料には,次の4種類がある。 1.本研究分担者が中心になって,ボ-リング会社に動力掘削機で採取してもらったもの.福岡県遠賀町遠賀川下流域の水田 38m;福井県三方町黒田の水田 49.3m. 2.本年度本研究補助金で購入したト-マス型採泥器で本研究分担者が人力により採取したもの.沖縄県南大東島大池 8.4m;敦賀市池河内湿原 18.85m;四街道市亀崎 4.2m. 3.本重点研究の他班から分与していただいたもの.長崎県五島列島玉之浦 13.5m;佐賀県鷹島 12m;鳥取県東郷池 51.95m. 4.他の各種機関から恵与していただいたもの.沖縄県伊是名島千原地区 34.9m;玉野市八浜 40m;坂出市番ノ州 75m,鳴門市鳴門教育大学隣接地 40m. これらの試料は,目下分割・整理作業が行なわれており,その一部は分析・測定も始められている.まだ結論的なことは何もいえないが,これまでに明らかになった成果は,次の通りである. ○南大東島で後氷期のマングロ-ブ林の植生史を初めて明らかにした. ○福江島玉之浦でシイノキ属の優勢な照葉樹林の植生史を解明した. ○玉野市八浜で,瀬戸内海沿岸中央部の最終間氷期以降の植生変遷史の概略を明らかにした. ○敦賀市池河内で約5,000年前頃から照葉樹林の拡大したことを確認した. ○四街道市亀崎の印旛沼周辺で,弥生時代にハンノキ湿地林を伐採して水田化したとみられる結果が得られた.
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