研究概要 |
1.溶液中の界面活性分子の ^<13>CーNMRによる観察 界面活性分子は水溶液中でその臨界ミセル濃度(CMC)以下では分子レベルで分散しているが,CMC以上ではミセルを形成する。今回,超電導磁石を用いて,ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(C_<12>TAC)溶液の ^<13>CーNMRを測定したところ,CMC以上で,全ての炭素のピ-クが分裂して現われることをはじめて明らかにすることができた。 2.金属クラスタ-を保持した界面活性分子の ^<13>CーNMRによる観察 界面活性分子を保護剤として,光還元法により容易に貴金属クラスタ-分散液を調整できる。こうして得た白金クラスタ-分散液中のC_<12>TACの ^<13>CーNMRを測定したところ,C_<12>TAC 100mM,Pt0.4mMの分散液のスペクトルは,CMC以上のC_<12>TACを含んでいるにもかかわらず,Ptを含まないCMC以下のNMRスペクトルの様子と類似している。このことは,本条件下で,C_<12>TAC分子はそのアルキル鎖部分がクラスタ-粒子の表面に吸着して,粒子を安定化していることを示唆している。同様の結果は,ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド保護白金クラスタ-についても京都大学中原勝助教授との協同研究でも観察されており,また,岡山理科大学冨永敏弘教授との協同研究による白金クラスタ-の拡散速度の結果とも一致している。 3.二元金属クラスタ-の生成過程 界面活性分子または水溶性高分子の存在下,2種の貴金属イオンを一緒に還元すると二元金属クラスタ-分散液ができる。ポリビニルピロリドン存在下アルコ-ル還元法による金/白金クラスタ-の調製の過程を紫外可視吸収スペクトルで追跡し,反応は,i)金イオンの金原子への還元,ii)白金イオンの白金原子への還元,iii)金原子の凝集による核の生成,iv)白金原子の金核表面への吸着の順に進んでいることが分かった。
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