研究概要 |
^<23>Naはスピン3/2をもち、細胞質中でT_1とT_2の緩和が速く、細胞内で四重極相互作用がスピン3/2の核の緩和を促進していることが示された。水溶性の陽イオンは細胞内においても、細胞外においても、高分子のpolyelectrolyteと遭遇する。このような環境では相関時間は長くなり,四重極相互作用が ^<39>Kと^<23>Naの緩和を促進する。そしてスピン系は二つの横緩和(T_2)をもつ.今回,細胞内の ^<23>Na^+の緩和特性を詳細にするために、T_1,T_2二量子フィルタ-NMRを用い、横緩和および縦緩和速度定数の静磁場依存性を、灌流ラット顎下腺にて測定した。 ^<23>NaNMRスペクトルはWM/AMXー360wb(Bruker,8.45T),AMー200wb(4.7T),MSLー100(2.34T)spectrometer、10mm径広帯域プロ-ブを用いた。T_2二量子フィルタ-(Dー90^・ーτ/2ー180^・ーτ/2ー90^・ーδー90^・ー取り込み)、T_1二量子フィルタ-(Dー180^・ーτ/2ー90^・ーδー90^・ー取り込み)を用い測定した。オン-レゾナンスで得た自由誘導減衰(FID)信号を用い、横緩和速度定数s_1,s_2を決定した。creation time(τ)を変えて測定したFTスペクトルのピ-ク高を用い縦緩和速度定数d_1,d_2を決定した。測定値より1)static model,2)exchange modelの仮定のもと、細胞内 ^<23>Na^+の相関時間と四極子結合定数を推定した。1)static modelでは,細胞内液のNa^+の状態として均一な状態(homogeneous population)を仮定し,2)exchange model(交換モデル)では,細胞内にて,遅い運動状態のNa^+とextreme narrowing状態のNa^+が交換すると仮定した。測定値を両モデルにfittingした結果,相関係数(γ^2)がより高いexchangeモデルが支持された。excha ngeモデルの最適化の信頼性を検討すると、相関時間(7x10^<-8>sec)とS_<free>(100sec^<-1>)の値は信頼できることと、e^2qQ/hの値(1.75MHz)は最適化の誤差を含むことが確認された。 設備備品として申請されたコイルインサ-トは,消耗品と見なされた為,備品としては,現有装置に付加し,Fー19測定を行うことのできる前置増幅器を購入した。このプロ-ブにより細胞内のCaイオン測定が可能になる。
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