研究分担者 |
安川 克己 神戸大学, 理学部, 教授 (20020084)
池谷 元伺 大阪大学, 理学部, 教授 (20023161)
鳥居 雅之 京都大学, 理学部, 助教授 (60108983)
新妻 信明 静岡大学, 理学部, 教授 (80005818)
河野 長 東京工業大学, 理学部, 教授 (20011596)
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研究概要 |
本研究計画は,古地磁気の手法を用いて過去の地球磁場を復元し,地球磁場の起源と地球磁場変動の原因を地球中心核内の流体運動との関連で明らかにすることを目的としている.過去の地球磁場の復元に関しては,陸上の堆積物及び海底の堆積物の試料をできる限り多く利用し,残留磁気精密測定行うことを目標にしている.陸上の堆積物の研究では,房総半島で多くの試料を採取することができ,約70万年前の地球磁場逆転時の詳細な変動が復元できた.この成果は世界的にも大きな注目を集めている.海底の堆積物の研究では,まず残留磁気の性質に関する基礎的研究が進んでおり,古地球磁場の強度も含めた定量的研究への展望が開けつつある.とくに,深海底堆積物の長いコアの効率的残留磁気測定方式が完成しつつあり,古地球磁場復元に向け着々と準備が整いつつある。さらに,昨年度導入した浅海底用のボ-リング装置を用いたコア試料採取実験も瀬戸内海において行われている.地球磁場の理論的研究もかなりの進展をみせている.現実の地球磁場に即した地磁気ダイナモの研究からは,地球核内の流体運動の様子が明らかになりつつある.そのなかでとくに重要な成果は,地球の自転軸に平行なロ-ル状対流が支配的であるらしいことがわかったことである.このことは,地磁気ダイナモがこれまで考えられていたようなαωダイナモではなく,むしろα^2ダイナモに近いことを意味し,ダイナモ理論に対して大きな制約を与える.また,内核成長に伴う組成対流のシミュレ-ションからは,核内の流体運動に及ぼす磁場の影響が明かとなりつつある.さらに,MHDダイナモのシミュレ-ションの研究も,計算コ-ドが完成し,ワ-クステ-ションを駆使した大規模シミュレ-ションが行われている.現在までに,地球磁場の逆転や西方移動等を説明するモデルが得られている.さらに,逆転時の地磁気極の振舞等も調べられ,観測結果をよく説明できることも確認されている.このような成果は,重点領域「地球中心核」全体の平成3年度報告書に詳しく報告してある.
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