研究分担者 |
鳥居 滋 岡山大学, 工学部, 教授 (70032927)
高谷 秀正 京都大学, 工学部, 教授 (40022644)
村橋 俊一 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (60029436)
杉森 彰 上智大学, 理工学部, 教授 (40053590)
岩澤 康裕 東京大学, 理学部, 教授 (40018015)
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研究概要 |
典型元素は一般に原子価が決って居り,その族に応じて一定の値をとるものと思われて来たが,近年の研究の発展によって,異常な原子価を持つ化合物が見出され,その方面の基礎研究が盛んとなって来ている。一方遷移金属は,原子価が変り易く,場合によって極めて複雑な状況を生んで来た。本研究では,典型元素の異常原子価状態と遷移金属化合物での原子価状態との「つながり」を深く立入って研究し,この両方の分野に共通のものを見出し,化学での異常原子価という概念に新たな展開をはかり,新しい応用へつなげようとするものである。 具体的な研究としては,諸態は高度な分子軌道法計算による異常原子価状態の理論解析,特に中心元素と配位子間の結合の強さと配位子間の結合角について定量的に評価する研究方法を確立し,多くの実例についてこの方法の優れた点を明らかにした。奥田は,典型的な超原子価化合物である[C_6H_5NH_3]SbCl_6などについてNQRによる研究を行い,Sbの持つ6ケのSbー ^3Cl結合の内1ケは異常に長く,[SbCl_5]^<2ー>状態に近い事,更に同型の[SbBr_6]^<3ー>イオンでは無限鎖状の[SbBr_5]^<2ー>が存在している事を明らかにしている。中村は5族のニオグ,タンタルが典型元素の硫黄,セレンと結合した際に見られる異常な配位状態を調べ,ニオグと硫黄との間のπ結合生成による新しい効果や,タンタルの硫黄クラスタ-生成による新型鋸体の合成とその構造解析,次いで反応の解析を行っている。低原子価ニチニウム錯体によるニトリルのαーCH結合の特異的活性化や新しいラクタム合成反応(村橋),ベ-タ・ラクタム類の特異的官能基変換でのビスマス/亜鉛系試剤の利用(鳥居),新型イリジウム・ホスフィン錯体の不斉還元触媒作用によるカルボニル基の水添(高谷)など反応面での特異性も見出されている。コバルト,ロジウムを含むメタラカルゲゲノレン錯体での特徴的な新反応も発見されている(杉森)
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