研究概要 |
1.[Cp*RuC1]_4(Cp*=η^5ーC_5Me_5)とNaSR、または[Cp*Ru(OMe)]_2とMe_3SiSRとの反応によりRu(II)の二核錯体[Cp*Ru(μーSR)]_2(1)が得られることを先に見いだしていたが、今回R=2,6ーMe_2C_5H_4の錯体につきX線解析に成功し、本錯体が2つのチオラ-ト配位子が架橋した二核構造をもつことが確認できた。 2.1(R=^iPr)は当量のアルキルハライドと容易に反応し、Ru二核上への酸化的付加による生成物[Cp*RuR(μーS^iPr)_2RuCp*X](R=Me,Et:X=I;R=PhCH_2CH_2,PhCH_2:X=Br)を与えた。一方、1(R=^iPr)と各種末端アセチレンR'CΞCHとの反応においては、Ruの二核サイト上でこれらアセチレンの特異な二量化または三量化が進行することも明らかとなった。反応はR'の種類に大きく依存し、例えばMe_3SiCΞCHとの反応ではアセチレン三量体が配位して二核πーアルキン錯体が、またR'=pーMeC_6H_4,CH=CH(CH_2)_3CH_2ではルテナシクロペンテン骨格を含む二核錯体が得られている。 3.[Cp*RuC1_2]_2(2)とNaS^iPrとの反応で合成できる[Cp*Ru(μーS^iPr)_3RuCp*]は、アリ-ルアセチレンR'CΞCH(R'=Rh,pーMeC_6H_4)とさらに反応して二核ジアルキニル錯体[Cp*Ru(CΞCR')(μーS^iPr)]_2を与えた。R'=pーMec_6H_4の錯体についてHBF_4との反応を試みたところ、2つのアルキニル基のカップリングが進行し新規なジルテナシクロペンタジエノインダン錯体が生成することが判明した。本錯体の脱プロトン化を行うとジルテナシクロペンテノインデン錯体がさらに誘導できた。 4.2と過剰の[NH_4]_2[MS_4](M=W,Mo)との反応からは三核のスルフィドクラスタ-[(μ_2ーS_2)(Cp*Ru)_2(μ_2ーS)_2(μ_3ーS)MS]が生成することを見いだし、それらの興味深い構造をX線解析により明らかにした。
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