研究課題/領域番号 |
03233209
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
永瀬 茂 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (30134901)
|
研究期間 (年度) |
1991
|
研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
|
配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1991年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 多環状化合物 / 高周期14族元素類似体 / カチオンラジカル / 異常な橋頭位間結合 |
研究概要 |
高歪み多環状化合物であるビシクロブタンやプロペランの14族高周期典型元素類似体は、その歪みのかかった『反転』した四面体構造からできる橋頭位結合の性質をめぐって多くの研究がなされ、また、ケイ素およびスズ置換体が実際に単離合成されるなど、最近の14族高周期典型元素の化学で注目を集めている化合物である。本研究では、これらの化合物の構造と性質および橋頭位結合の結合性軌道にあたる最高被占軌道(HOMO)から電子を一つ抜いたカチオンラジカルをab intio分子軌道法計算により系統的に明らかにすることにより橋頭位間の異常な結合の性質を解明することを試みた。 三員環が2つ縮合した構造のビシクロ[1.1.0]ブタンのケイ素類似体では橋頭位結合が通常の単結合距離のもの(bond normal isomer)とそれより大きく伸びたもの(bond stretch iosmer)との二種類の構造異性体が存在し後者の方が安定になる。bond stretch iosmerは伸びた橋頭位結合にもかかわらずビラジカル性は小さく、これらの安定化は、ゲルマニウム、スズ、および鉛の類似体になるに連れて顕著になる。しかし、HOMOから電子を一つ抜いてカチオンラジカルにすると、『bond stretch isomerism』が起こらなくなる。ここで注目すべきことは、結合性軌道からのイオン化にかかわらず得られたカチオンラジカルの橋頭位結合距離はほとんど伸びていないことである。この異常は従来の化学結合論の予測に反する興味あることであり、炭素化合物では見られない。 三員環が3つ縮合した構造の[1.1.1]プロペランの14族高周期典型元素類似体および関連化合物の橋頭位結合距離の変化についても計算を行なった結果、ビシクロ化合物と同様にカチオン化に伴い結合の収縮が起こることを見いだした。炭素化合物では反対に結合は伸びる。
|