研究課題/領域番号 |
03233227
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
落合 正仁 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教授 (50127065)
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研究分担者 |
正木 幸雄 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (20082977)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1991年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | ヨウ素 / 超原子価 / アレニルヨウ素 / クライゼン転位 / シグマトロピ-転位 / プルパルギルシラン |
研究概要 |
三価の超原子価アレニルヨウ素化合物は全く未知の新しい化合物である。我々はプロパルギルシランと超原子価有機ヨウ素(III)化合物との反応により、アレニルヨウ素(III)化合物の発生に初めて成功するとともに、新しいタイプのクライゼン転位反応が進行することを見出した。アリ-ルヨ-ジナンをBF_3の存在下にプロパルギルシランと処理すると、反応は-20℃で進行し、オルト位にプルパルギル基が導入されたヨ-ドベンゼンが高収率で生成した。本反応の特徴として次の事項をあげることができる。1)三価ヨウ素原子は常に一価のヨウ素原子に還元される。2)プロパルギル化は高位置選択的にオルト位で進行する。3)プロパルギルシランのケイ素原子付け根の炭素原子上でCーC結合が形成される。4)低温(-20℃)で反応が速やかに進行する。 プロパルギルシランのS_E2'型反応により、超原子価アレニルヨウ素化合物がまず生成する。次いで、その分子内[3,3]シグマトロピ-転位によりオルト位へ位置選択的にプロパルギル基が導入された後、引き続く還元的脱離によってオルト位プルパルギル化が完結するという反応機構が上記反応の特徴から示唆される。 超原子価アレニルヨウ素化合物の反応が分子内転位であることを交差実験により証明した。通常のクライゼン転位反応では、150ー250℃での加熱が必要であるが、この還元的ヨ-ド(III)クライゼン転位反応は低温で進行する。反応の律速段階はアレニルヨウ素合物の[3,3]シグマトロピ-転位であると思われるが、CーI(III)結合の結合解離エネルギ-が小さいこと、また、切断されるCーI(III)結合が芳香環π電子と相互作用し得るアピカル結合であることなどが、このシグマトロピ-転位の活性化自由エネルギ-を小さくしている原因であると考えられる。
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