研究概要 |
ヘキサフルオロクミルアルコ-ル、C_6H_5・CCCF_3)_2・OH(Lと略記)は、超原子価の典型元素化合物を安定化させる二座配位子として有名である。この配位子とアンチモン原子との結合を明らかにすることを、目的として昨年に引続いて、新たに5価qアンチモン錯体、Tol_2SbLX(Tol=pーCH_3・C_6H_4,X=F,Br,I)とア-ト錯体(Et_4N)[SbL_2X_2](X=F,Cl,Br)の20Kにおける ^<121>Sbメスバウア-スペクトルを測定した。 前者のメスバウア-パラメ-タは、これらの錯体が三方両錐5配位構造(10ーSbー5)で、アピカル位を電気的に陰性2酸素原子とハロゲン原子が占めると考えるとよく説明される。アピカル位の配位原子がアンチモン中心原子から5S電子をひく能力はF≧O>Cl>Br>Iの順に減少し、5P電子をひく能力はF>Cl>Br>O>Iの順に減少することが明らかになった。 後者のア-ト錯体のe^2q_ZQの符号は正で、前者のそれ(負)と反対であることは、後者が八面体6配位構造(12ーSbー6)であることを示唆している。既ちエクアトリアル面に2ケの酸素と2ケのハロゲンが、アピクルに2ケの炭素原子が存在すると推定される。e^2q_ZQの大きさから、X=Fでハロゲン原子はトランスに、X=Cl,Brでシスにきていることを示している。 また、新たに、3価のアンチモンのヘキサフルオロクミルアルコ-ル錯体、Tol SbLおよび(Et_4N)[SbL_2]のメスバウア-スペクトルを測定した。Sb(III)として、極めて珍しい負のe^2q_zQを観測した。これは、2番目と3番目の観測例であり、目下、この説明を検討中である。
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