研究概要 |
1、3ー二置換テトラアルキルジスタノキサンは特異な二量体構造を有しており、我々はそのテンプレ-ト効果を利用することによりエステル化、エステル交換反応、アセタ-ル化、脱アセタ-ル化,脱シリルエ-テル化等の官能基変換が温和な条件下で行える事を明らかにしてきた。本年度はエステル交換およびエステル化反応の機構について詳細に検討した。その結果、エステル交換反応は第一段階でアルコキシジスタノキサンが生成し、続いてこれにエステルが配位することにより進行することが判明した。エステルの配位が反応のキ-ステップであり、基質の触媒への値近を促進するととものカルボニル基を活性化してアルコキシ基の求核攻撃を受けやすくする。この機構によればエステルはテンプレ-トの立体的な嵩高さの影響を受けることになる。事実、ヒ-ブチル基を含むエステルの反応性は著しく低下することが認められた。 エステル化も同様に進行する。本エステル化の特徴は反応が非可逆的に進む事である。すなわち、加水分解はまったく起らない。したがって、エステル化に際して脱水装置または脱水剤を用いる必要はなく、単に加熱するだけでよい。 エステル交換反応の検討中に1,nージオ-ネジエステルのエステル交換が一方のエステル基のみに遅択的に起るという興味ある現象が見出された。通常、この種の反応では両方の官能基が反応した生成物の混入は避けられない。この様な、特異な反応性はジスタノキサンの二量体構造に基づくテンプレ-ト効果によりもたらされたものである。
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