研究概要 |
本研究は,複数のセンサからの情報に対し,柔軟性と信頼性の高い自律分散型の認識判断機構を実現することを目指した研究である。特にセンサフュ-ジョンの構造を記述する手法として、対象の内部モデルを利用する方法を提案し,並列処理を用いて,自律分散型センサ情報処理を実現するものである。 このようなセンサ情報処理システムの構築するため,内部モデルに基づくシステムの記述手法として,昨年度に引き続き,物理ネットワ-クと呼ぶ対象の物理系の順方向モデルを記述する方法,センサ情報間に写像関係を定義し学習を導入する方法,隠れマルコフ過程を多系列に拡張した方法等に関して改良を行い,また,新たにシミュレ-ティッドアニ-リングにより内部モデルの最適化を行う方法を提案した。 物理ネットワ-クによる記述では,事前の知識として対象の構造を陽に記述することが容易であることを実例で示し,これにより自律分散型のセンサフュ-ジョンシステムの計測精度が向上することを示した。さらにセンサフュ-ジョンをセンサ情報に対する内部モデルの非線形最適化問題として捕らえ,それを解く方法としてシミュレ-ティッドアニ-リングを導入した。この方法は,実際に2自由度の回転機構と焦点調節機構を持つ3次元トラッキングシステムを用いて実験が行われ,その有用性が確認された。 また,これらのシステムは,並列処理用プロセッサであるTransputerを用いた並列分散構造をもつセンサ情報処理機構により実現されている。この演算処理機構は,内部モデルを用いたセンサフュ-ジョンシステムが要請する高速でリアルタイムの処理を実現している。
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