研究概要 |
一般に大規模・非線形システムを制御することは難しいが,そのサブシステムを制御することは比較的容易である.この考え方に基づき,自律分散システム(制御)の協調と大域的秩序形成に関して,非線形微分方程式モデルを用いてその特徴・性質を把握し,定式化とその具体的な応用に関する研究を行った. まずシステム制御における「自律分散」の役割について考察し,自律分散的なシステムの捉え方についての我々の考え方をまとめた(第20回制御理論シンポジウム).自然界のシステムと人工のシステムを比較することにより,自律した冗長なサブシステムの協調による全体の制御が,「自律分散」による利点(多様性,柔軟性,耐故障性など)を実現するために重要であることを示した.多様性,柔軟性,耐故障性などの性質は,結局はシステムの冗長性に由来するため,その冗長性を利用する自律分散システム理論を構築すればよいことが明確になった.そのためにはシステムのモデル化法が重要であり,これまでの機能分割によるシステムのモデル化はシステムの冗長性を利用する「自律分散」システムには向かないことを明らかにした. 昨年度の本研究課題において,サブシステムの協調に関する成果を得た.今年度は,システムの協調を目的や外部環境の変化にあわせて,ふさわしく分岐させる方法について研究を進展させた.具体的に,四足動物の移動パタ-ンはその速度によってきまり,遅い速度から順に“ウォ-ク",“トロット",“ギャロップ"と変化する.そこで,分岐現象を利用してこれらのパタ-ンを発生する自律分散システムを構成し,シミュレ-ションによりその動作を確認した(ロボティクス・メカトロニクス講演会 '91,第30回SICE '91学術講演会,計測(自動制御学会論文集).
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