研究概要 |
自律分散システムの中で特に比較的単純な情報処理・運動機能を持つ多数の素子から構成されたシステム(分散協調システム)が全体としてのコヒ-レントな運動(パタ-ン)を通して発現する情報処理・運動機能を2つのシステム(緩和素子系,多リンク系)を取り上げて検討している.平成3年度における成果は次の通りである. (1)緩和素子系を用いた空間フィルタ-に関する研究 2次元的に結合された緩和素子系はその相互作用を適切に設定することにより入力に対する応答パタ-ンを介し空間フィルタ-の機能を示す.相互作用の設計はベイズ推定にもとづいて行うことができるが特に対象とする場の先験情報として,場の変動量に対し,コ-シ-分布を仮定すると各素子の相互作用は非線形となり系は非線形フィルタ-特性を示し,場に含まれるエッジを忠実に再現することができることを明らかにした.又,その分布に含まれるパラメタの設計法として,相対エントロピ-を用いた逐次的決定法を提案した. (2)多脚歩行機械の運動制御に関する研究 多脚歩行機械は,多数のリンクを動かし,環境と相互作用を行なって,本体を移動させるシステムであり,多数のリンクの運動の協調がその機能に大きな影響を及ぼす.多数のリンクを協調的に動かし,効率的な本体の移動を実現する運動制御系の設計法を開発するため,まず,この種のシステムの動力学モデルを導出した.モデルは擬座標を用いたLagrange形式で定式化されており,システム全体の大域的な運動と各リンクの局所的な運動が分離されており,運動制御系の設計に適した構造になっている.又,このモデルを用いてシミュレ-ションを行ない各脚間の運動のタイミングがその移動効率に大きく影響することを明らかにした.
|