研究概要 |
1.ドクササコの新毒成分の単離:マウスの致死毒性を目安として水抽出物の分画を行い神経興奮作用をもつ新たな分画を得るとともに新アミノ酸Lー3ー(2ーカルボキシー4ーピロリル)ーアラニンを得た。構造はスペクトルより推定し、合成によって確かめた。合成経路はピロリジンー2ーカルボン酸より出発し、4位をホルミル化後ホ-ナ-エモンズ試薬でαーアミノ酸部分を結合し、水素添加して導くものである。合成品はキラルTlcで分離した。天然品は合成品とtlc,Rf値,NMR,CDともに一致した。またスチゾロビン酸も単離したのでアクロメリン酸のバイオジェネシスに、DOPAの4,5位で開環するもう一つの経路が加えられることになった。 2.オオワライタケの毒性分:ラットの脊髄標本について脱分極作用を見ながら抽出物を分画したところ、これまで苦味成分として得られていたジムノピリン(G)にこの作用があることがわかった。Gはオリゴイソプレノイドの水和体の3ーヒドロキシー3ーメチルグルタ-ル酸エステルでオリゴイソプレノイド部分の炭素鎖の長さや水和の度合いは種々のものがあり、その混合物として得られている。分離の結果m=1のものには活性がなく、m=2のものに活性を認めた。また新たにm=3のものを分離し、より活性が強いことを見出した。活性はn=7,6,5の順に強くなる。m=3のものの構造は以下の様にして決定した。NBSにより末端二重結合のみがブロモヒドリンとなったものを得、これをオゾン酸化して元のnをそのまま保っているメチルケトンを得たので、3番目の二重結合位置がわかった。またジムノピリンをLiBH_4で還元してアシル基部分を(R)ーメバロン酸として得たことによりジムノピリンのアシル基部分の絶対配置をSと決定した。
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