研究課題/領域番号 |
03236219
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
遠藤 斗志也 名古屋大学, 理学部, 教授 (70152014)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1991年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | オルガネラ表層 / 葉緑体 / ミトコンドリア / 膜透過 |
研究概要 |
葉緑体タンパク質において、行き先を指定するシグナル(葉緑体指向シグナル)は、前駆体のアミノ末端に付加された延長ペプチド(トランジットペプチド)に書き込まれていると考えられるが、その具体的な内容は不明である。そこで本研究では、葉緑体のチラコイドのタンパク質であるプラストシアニンのトランジットペプチドの葉緑体指向シグナルを含む1ー43残基のペプチド(PC(1ー43))を新たに化学合成し、その構造と物理的性質を庁べた。PC(1ー43)の円二色性(CD)スペクトルをとったところ、水溶液中では特定の二次構造はとっていないが、SDSやリゾレシチンなどのリン脂質アナログのミセルが存在すると20ー30%のヘリックス構造が誘起されることがわかった。またPC(1ー43)はミトコンドリアタンパク質や分泌タンパク質の延長ペプチドとは異なり、リン脂質のリポソ-ムに結合できず、またリポソ-ムを壊す能力もなかった。ところで実際のプラストシアニンのトランジットペプチドにおいて、葉緑体指向シグナル部分(1ー43残基)の後にはチラコイドへの仕分けシグナル部分(44ー66残基)が続いている。この44ー66残基は疎水的なアミノ酸残基に富んでおり、生体膜への親和性が高いことが期待される。このことを考慮すると、プラストシアニンの葉緑体への局在化は次のようなメカニズムによると考えられる。まずトランジェトペプチドの44ー66残基の疎水性アミノ酸残基の働きによって、細胞内の(様々な)生体膜に運ばれる。次に、生体膜の疎水的環境で1ー43残基に誘起されるヘリックス構造(の上に表示される特定のモチ-フ)が、葉緑体表層の受容体によって認識され、厳密な選別が行なわれる。一次構造が報告されている159のトランジットペプチドについて、ヘリックス構造をとったときに表示されうるモチ-フを検索し、その候補を見いだした。
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