研究概要 |
超伝導体一常伝導体ー超伝導体接合系における準粒子状態 1次元的な構造をしたS(超伝導体)ーN(常伝導体)ーS(超伝導体)接合系におけるペアポテンシャルの空間分布をセルフコンシステントに決定する方法を開発した.その方法を用いて,準粒子のエネルギ-スペクトラムを求めた.準粒子は,超伝導が壊れているところへと,集まり易い.常伝導領域における電子間相互作用が引力型の時は,ペアポテンシャルは,N領域の中心で最小値をとるために,準粒子はN領域の中心に集まる.これに対し斥力型の時は,ペアポテンシャルは,SーN界面で最小値をとるために,準粒子はSーN界面に集まる.準粒子の空間分布はSTMを用いて知ることができる.従って,常伝導領域の電子間引力の符号はSTMを用いることで,識別できる可能性がある. 超伝導体に囲まれた常伝導領域中の準粒子状態 超伝導体に微細加工をほどこして,円筒形の常伝導領域を作り,準粒子を閉じ込める試みがNTTのグル-プにより行われている.こうした系では,円形領域の大きさを制御することで,準粒子の束縛準位を制御できるし,さらには磁場がかかった状況ではバルクの超伝導体と異なり,常伝導領域を複数の磁束量子が貫く状況も考えられる.準粒子の束縛エネルギ-は円の半径を大きくするにつれて低エネルギ-側にシフトする.常伝導領域を貫く磁束量子が1本の時はトンネルコンダクタンスは,ゼロバイアスにおいて極大となる.円形領域が大きくなるにつれて,極大値は小さくなる.一般に磁束が複数はいると(バルクの超伝導体では,起こらない)コンダクタンスは,必ずしもゼロバイアスでは極大とならない.常伝導領域を貫く磁場の強さの変化に対して,コンダクタンスは非単調な変化をする.
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