研究概要 |
固体薄膜表面に反跳インプラント原子を打込むとキに化学反応の結果錯体中心金属がインプラント原子によって置換される現象がある。この反応はインプランテ-ションのさいの衝突カスケ-ドによっていちじるしく收率が増大することが明らかになった。 上の現象の反応機構をさらに詳しく検討するためわれわれはβジケトン金属錯体の薄膜を用い,これに反跳源金属薄膜から核反跳によって飛び出す金属原子を作用させた。すなわち ^*M +M(β‐dik)_3 → ^*M(β‐dik)_3 + M (1) のように錯体中心金属Mを防射性のインプラント原子^*Mで置き替えた。この收率は^*MーMの相対的な力関係によって変化することを示した。インプランテ-ション反応の收率は類似のホットアトム反応の收率に比べて1ケタも大きいことがわかった。また收率の飽和するエネルギ-はホツトアトム反応に比べて3ケタモ大きいという衝撃的な事実も明らかになった。 上の事実に対する説明として新しく衝突カスケ-ド励起モデルを提案した。このモデルはほとんど靜止したインプラント原子に対して,衝突カスケ-ドによる高圧・高温パルスがつぎのように作用することを前提している。(1)衝突によるエネルギ-・トランスファ-は核阻止能によって左右される。(2)衝突による損傷密度が大きいほど作用が大きい。(3)距離が大きくなると作用は急激に減少する。これらの因子を数式化して積分形にすると,インプランテ-ション・エネルギ-太收率曲線は斐常によく説明できることが判った。Rh‐Rh錯体インプラント系の結果をCr‐Rh錯体系に適用すると非常によく実験を説明できる。したがって上のモデルは正しいことが立証された。以上はまったく画期的な成果となった。 加速ビ-ムによる実験は現在結果を整理中である。
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