研究概要 |
本年度も昨年度につづき,TEACO_2レ-ザ-を用いて実験を行った。 (1)いろいろの金属試料に対して,レ-ザ-強度を変えながら,発生するprimary plasma強度E_0と,ある時間での衝撃波プラズマの先端の位置rの関係を調べr〓E_o^<1/5>の関係があることがわかった。これは点爆発の場合の理論式と一致し,従ってprimary plasmaがblast waveの源である事がわかった。 (2)空気に代って,ヘリウム,アルゴンなどの希ガスを用いて,衝撃波プラズマの構造を時間分解分光法で詳しく調べた。空気の場合一つの薄い層状構造であるのに対して、希ガスの場合は二重構造になることが見い出された。これは衝撃波で励起された希ガスの準安定状態が、時間的に遅れて試料から蒸発してくる原子にエネルギ-を与えるためである。 (3)CO_2レ-ザ-は水に対する吸収率が高く、食品や生体試料に対して効率よく衝撃波プラズマを発生する。今回はKBr粉末と粉ミルクを混合し圧力をかけペレット状にした試料にレ-ザ-照射し,Caの定量分析を行った。濃度と発光線強度の間には良い比例関係が見られた。これは、この発光プラズマが自己吸収のない薄い層状構造を持つ事によっている。 (4)ClやFの原子の励起エネルギ-準位は高く,通常の発光分光分析法では発光しないことが知られている。我々の衝撃波プラズマの温度は高く,特にヘリウム数Torrを雰囲気とした場合,これらの原子のスペクトル線が強く観測されることがわかった。分析に応用した場合の検出限界はppmオ-ダ-に達する。特筆すべき事は,Fに関して,レ-ザ-のエネルギ-を高め強い衝撃波プラズマを発生させた場合,これまで知られていない,全く新しいスペクトル線が強く観測される事が見い出された。以上の他に,移動用の衝撃波プラズマ発光分光分析装置を実現するためのレ-ザ-として,コンバクトなTEA CO_2レ-ザ-の開発を試み,出力180mJ,パルス幅50nsのものを完成させた。
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