研究概要 |
Fe系合金において微細析出させることにより優れた軟磁気特性が得られる。本研究においては、スパッタ法によりFeZrNアモルファス合金を作製し、熱処理することによりαーFe,ZrNを析出させることにより、数百度まで安定な軟磁気特性を得ることができた。また,この薄膜は人工的に積層することにより特性の改善が見られた。具体的には,非磁性のAlNを20A^^○としてFeZrNを500A^^○,750A^^○,1000A^^○と異なる厚さで20,27,40層の人工格子積層膜を作製すると,asーmade状態でも単層膜と比較すると数分の1程度の保磁力した示さない。しかも400℃で焼鈍すると保磁力は0.2Oe以下となり,より優れた軟磁気特性を示すようになることが明らかになった。 保磁力の熱処理温度依存性やFeZrN/AlN二層膜の磁区観察より、中間層の厚さは5A^^○までに薄くしても磁性層間の交換相互作用を分断する効果があることが確認された。一方、ブリルアン散乱の実験より,中間層が20A^^○以下の膜では、それ以上の膜と比べて磁気的な構造の違いがあることが確められた。 磁気異方性は積層膜においてはasーmade状態でも存在し,積層周期や厚さに対して敏感に変化するが,熱処理温度に対する依存性はありま見られない。磁気異方性の値は1000J/m^3〜2000J/m^3程度であり,応用上の観点からはこの値の軽減が要求される。 以上より,人工積層膜にすることにより保磁力の低下,熱的安定性の向上などは改善された。しかし,磁気異方性の軽減など残された問題もある。
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