研究課題/領域番号 |
03240209
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浅野 攝郎 東京大学, 教養学部, 教授 (80013499)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1991年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 金属人工格子 / 垂直磁気異方性 / Co / Pt / Pd / Au / Ag / Cu |
研究概要 |
本研究は、原子レベルまで制御された金属人工格子の電子状態を第一原理から計算し、個々の人工格子の電子構造を明らかにするとともに、その物性を電子レベルから理解しようとするものである。具体的には、局所電子密度近似法に基づき、ス-パ-セルの方法により、効率の良いLMTO法、必要に応じて精度の高いFLAPW法で計算する。前年度はIBMのパワ-ステ-ションの最小システムを購入し、LMTO法のプログラムを移植し、セル中に50原子程度の計算が可能なシステムを開発した。今年度得られた結果は以下の通りである。 Co/Pd、Co/Pt、Co/Au金属人工格子は大きな垂直磁気異方性を示すことが知られており、高密度の磁気記録媒体として期待されているが、その物理的起源についてはまだ理解されていない。そこで、仮想的な人工格子CoX_2(X=Pd、Pt、Au、Ag、Cu)の垂直磁気異方性エネルギ-を第一原理から計算した。局所スピン密度近似を用い、LMTOーASA法により計算した。 人工格子の構造モデルとしては、CoX_2が最密面がABCABCと積層しているものを仮定した。 Co/Pd、Co/Pt、Co/Auは垂直磁気異方性を示し、実験と一致する結果が得られた。その異方性エネルギ-はバルクのCoに対して一桁以上も大きな値となった。また、この三つの系では膜垂直方向に磁化しているときの方がCoの軌道磁気モ-メントが大きくなっている。一方、Co/Ag、Co/Cuは面内磁気異方性を示し、膜面内方向に磁化しているときの方がCoの軌道磁気モ-メントが大きい。したがって、Co/Au、Co/Cuでは、フェルミレベル近傍のバンド構造の微妙な変化が重要であると考えられる。今後はこれらの結果を詳しく解析して、垂直磁気異方性の起源について考察する予定である。
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