研究概要 |
金・3d遷移金属人工格子の ^<197>Auメスバウア-効果測定の内,本年度はAu/Ni人工格子の層間磁性に注目して測定を行った。20A^^○厚さのNi層は強磁性体であることが明確に知られているので,この20A^^○厚さのNi層にサンドイッチされた5A^^○Au,10A^^○Au,20A^^○層の ^<197>Auメスバウア-効果測定を行い,Au層の厚さによる ^<197>Auメスバウア-・スペクトルの変化を詳細に測定した。本年度はAuバッア-層の無い試料を用いたので,昨年度測定したAuバッファ-層のある試料によるスペクトルと比較することによって,Au/Ni人工格子のス-パ-・モジュラス効果を再度検証する事が出来た。 ^<197>Auメスバウア-効果測定は ^<197>Pt線源として ^<196>Pt(n,γ) ^<197>Pt反応で生成したPt金属膜中の ^<197>Ptを用いAu/Ni人工格子を吸収体として用い行った。測定温度は線源・吸収体とも16Kであった。5A^^○Au/20A^^○Ni,10A^^○Au/20A^^○Ni,20A^^○Ni/20A^^○Auの各積層周期人工格子による ^<197>Auメスバウア-・スペクトルは予想されたように純Au金属の示すスペクトルとは大きく異なりAu層の厚さに依存している。5A^^○Au/20A^^○Ni人工格子から得られたスペクトルには26Tおよび16Tの内部磁場を有する成分が80%存在し,この人工格子では全てのAu原子がNi層によって摂動されていることが判明した。一方,20A^^○Au/20A^^○Ni人工格子では55%ものAu原子は純Au金属と同じスペクトルを有し,Ni層の影響はこの人工格子中ではAu層を貫通していないことが明らかとなった。10A^^○Au/20A^^○Ni人工格子のスペクトルと250A^^○Auバッファ-層を有する10A^^○Au/10A^^○Ni人工格子によるスペクトルを比較することによって,Auバッファ-層のデバイ・ワ-ラ-因子と人工格子のそれとを比較することが出来た。その結果,バッファ-層のデバイ・ワ-ラ-因子と人工格子のデバイ・ワ-ラ-因子の比は3.4±0.5にもなり,人工格子のAuデバイ・ワ-ラ-因子は純Au金属の3倍以上にもなっていることが明確となった。
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