研究課題/領域番号 |
03241211
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
横井 弘 静岡大学, 工学部, 教授 (30006308)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1991年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 生体関連高分子 / 金属クラスタ- / 包接錯体 / 新反応 |
研究概要 |
生物無機化学的観点より、生体関連高分子を利用して種々の金属クラスタ-の包椄錯体を合成し、それらのクラスタ-化合物を触媒とする新反応の開発とその反応機構の解明を目指す。本年度は、主に以下の3点について研究した。第一は、糖類、ポリオ-ル、酒石酸のFe(III)クラスタ-錯体の生成と触媒反応性の研究である。最初に、これら錯体が、ポリビニルアルコ-ルの場合と同様に、Fe(III)クラスタ-錯体であることを磁化率滴定法で明らかにした。次いで、糖類共存下で水酸化鉄ー(III)沈殿を生成する場合、沈導に吸着して溶液から除去される糖の除去率は、糖の立体化学と糖鎖長に依存して極めて選択的であることを見出だした。さらに、これらの沈殿を触媒として、アセトンを始めとする種々のケトン類のアルド-ル縮合反応を解析し、これら沈殿の触媒としての有用性を明らかにした。第二は、高pHにおける単糖類ーCaイオン系の特異的反応性に関する研究であり、主にNMR法を駆使して検討した。単糖類としてグルコ-スを例にとると、グルコ-スとCaイオンの1:1の溶液系をpH12.5にすると、水酸化カルシウムを核として生成する一種のゲル状態となり、これを一日以上放置すると高分子化反応に移行していくことを、初めて明らかにした。また、高分子生成物と共に、芳香物質の生成も確認した。結論的にはこれらの反応は生体内反応であるシキミ酸経路のシミュレ-ションと見做しうることが判明した。第三は、Fe(III)イオン触媒によるメチルセルロ-ス、デキストラン等の水溶性多糖に対する選択的鎖開裂を伴う光分解反応に関する研究であり、酸素雰囲気下、少量のFe(III)イオン存在下、近紫外線照射により、高分子が顕著に低分子化していく事実を、主に溶液粘度法によって明らかにした。
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