研究課題/領域番号 |
03242204
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉川 研一 名古屋大学, 教養部, 教授 (80110823)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1991年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | DNAの高次構造 / 蛍光顕微鏡 / 分子の直接観察 / インタ-カレ-ション / マイナ-グル-ブ結合 / 持続長 / ヒストンタンパク / 塩基性タンパク |
研究概要 |
蛍光顕微鏡を用いて溶液中のDNAのマクロな構造の変化を系統的に調べた。巨大DNA分子の高次構造の変化と運動性について定量的な解析を行なった。 (1)DNAと薬物との相互作用 異なる結合様式を持つ薬物が巨大DNAの高次構造にどの様な影響を与えるのかといったことはこれまで明らかでなかった。今回、インタ-カレ-ションする色素と、マイナ-グル-プ結合性の色素を用い、色素濃度を変化させたときのDNAの形態変化を調べた。その結果、インタ-カレ-タ-はDNAを引き延ばすことが分かった。一方、マイナ-グル-プ結合性の薬物はDNAを丸く縮めることが分かった。結合様式の異なる薬物による、DNAのマクロ構造の変化を映像的に明らかにしたものとしては、初めての研究である。 (2)塩基性ポリペプチドとの相互作用 水溶液中のDNAは、全長の1/10程度の長さに折りたたまれた形で伸縮を繰り返しながらブラウン運動をしているが、真核細胞中でDNAと複合体を形成するヒストンタンパクを加えるとDNAは収縮し、球状のコンフォメ-ションをとる。このようなDNAと塩基性タンパクとの相互作用を詳しく調べるために、塩基性のポリペプチドであるポリーLーアルギニン(pーArg)を加えて、pーArg濃度を変化させたときのDNAの広がり(長軸の長さ)の変化を測定を行なった。全体として、pーArg濃度の増大に伴って分子は縮んでいくが、中間的な濃度領域では、伸展した分子と、収縮した分子が共存していることが分かった。このような二相性は、細胞中でのDNAとヒストンタンパクの相互作用系においても存在する可能性は高いと考えられる。今後、DNAの発現の制御機構とも関連させて研究を進める予定である。
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