研究概要 |
結晶平衡形ファセット端近傍の形のダイナミクスをステップの多体問題として解析し平衡形への緩和現象を調べた。平衡形では,ファセットからの距離を△rとして表面グラジエントp〜(△r)^<1/2>というGruberーMullinsーPokrovskyーTalapov(GMPT)型の振る舞いをすることが,理論的に知られている。我々の調べた緩和過程においては,ファセット端からやや離れたところではGMPT型の振る舞いをするが,ファセット端ごく近傍ではp〜△rとなることが示され,臨界現象クラスの動的変化が得られた。この結果は,ファセット端臨界現象における理論と実験のくいちがいの説明のひとつとなる。 GaAs型結晶構造の2成分定比化合物における,(III)面上の単一ステップの性質を調べた。(III)面上の単一ステップを,部分格子構造をもつ二次元蜂の巣格子気体中の相境界面とみなし,さらに一様外場中の二次元反強磁性イジングモデルへ写像する。この写像により,環境蒸気分圧比が一様外場に対応することとなる。反強磁性イジング系の一次元相境界面へランダムウォ-ク法を適用することにより,異方的ステップ張力,二次元結晶平衡形(ファセット形),異方的ステップ・スティフネス,異方的ステップ・エントロピ-をそれぞれ温度と外場の関数として精密に求める表式を与え,具体的にいくつかの温度,外場について計算した。さらに,二次元結晶平衡形がファセット形を与えることから,(三次元)結晶平衡形の温度,環境蒸気分圧比変化にともなう晶相・晶癖変化をもとめた。
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