研究概要 |
1.ニッケル層を10μm(カ-ボンハ-メチックコ-ト含む)に無電解メッキした90μmφ単一モ-ドファイバに圧電性高分子を80〜90μmに溶融押出し,軸対称に半径方向のコロナ放電ポ-リングを施し圧電性を持たせる。その外側にアルミニウムを蒸着し,更に固有抵抗を減らすために導電性樹脂を塗布し,このニッケルメッキ層及び導電性樹脂層をプリント基板に導通させることによりプリント基板に組込んだファイバ型位相変調器を試作した。試作ファイバサンプルにDC〜100MHzの周波数帯域の電圧を印加して位相変調感度を調べた。1MHz以下では半径方向歪みのみが位相シフトに寄与するAxially constrained領域が観測されたが,1MHz以上ではファイバと被覆層を複合体とする弾性振動モ-ドによって位相シフトが支配される。50MHz以上になると光信号以外の電気的ノイズが大きくなるが,導電性樹脂を塗布することにより83〜87MHzの範囲で明らかな変調信号が確認された。 2.ガラスファイバ,被覆圧電層,同軸電極から成る円筒型複合体の粘弾性的圧電振動の理論に基づいて位相変調感度の数値解析を行った。石英ガラス,電極材料の弾性定数並びに高分子の弾性,圧電諸定数は既知の値を用いて,又実験デ-タと最適一致を示すように圧電振動パラメ-タを選んだ。電気機械結合係数はk_t=0.09となり,超音波トランスデュ-サ用圧電膜の約1/3であることから,分極処理に検討を要することがわかった。ガラスファイバの1次共振周波数v=47MHzに着目すると,圧電層の1次共振ピ-クが厚さ20μmで生ずることが明らかになったが,このピ-クは電極材料及び電極膜厚に大きく依存する。47MHzにおける高感度な位相変調を利用した光ファイバ型モ-ドロッカ-を試作中であり,現在ネオジウムド-プ能動ファイバに圧電高分子を20μmの厚さに被覆することを検討している。
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