研究概要 |
本研究は,光並列演算とある種の並列演算モデルの親和性に注目し,それらを融合した光並列演算システムを実現しようとするものである。つまり,偏微分方程式で記述されるような並列演算モデルが要請する大規模並列性を光演算の原理的な並列性を利用して実現し,その演算に対し学習機能を導入することにより汎用性に欠けるとされてきた光演算に柔軟性を付与しようとするものである。 本年度は,光演算向きア-キテクチャ-の一つとして,光入出力をもつ超並列演算処理機構を提案し,実際に試作して性能を評価した。このシステムは,光入力としてフォトトランジスタを,また光出力としてLEDをそれぞれ1個ずつ備えたPEを64×64=4096個並べたものであり,SIMD型の制御,ビットシリアル演算,4近傍接続等の採用により,コンパクトな回路で,十分な汎用性を維持している。このシステムにより簡単なアプリケ-ションプログラムを実行した結果,例えばエッジ抽出が3.3μsで実現できることが確認された。 また,光演算に向いた均一な単層の並列処理回路を用いてO次モ-メント(総和)と1次モ-メント(中心位置×総和)を検出する方法を提案し,多層の並列処理回路に拡張することにより,2次以上の高次モ-メントを検出する方法を示し,デカルト座標系以外の座標系に関する重心位置(1次モ-メント/0次モ-メント)を出力するようなネットワ-クを学習によって獲得する方法を提案した。
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