研究概要 |
本研究は,人工知能において特に遅れの目立つ要素技術の統合技法についての基礎的研究として,(1)言語・非言語に共通な概念・知識の構造の解明,(2)上記構造に基づく概念辞書の構築,および(3)概念・知識に基く常識的問題解決機構の開発を行い,同時に,言語概念の形成と思考内容の発話の過程を解明することを目指す。 具体的には,イソップ物語を素材として,主人公がある環境の中で願望を持ち,それを実現するため計画を立て,外界を認識し,行動し,必要に応じて計画を修正し,そして一連の過程を言語で表現するという計算機モデルの構築を目指し,本年度は以下の課題に取り組んだ。 心理要素モジュ-ルの作成:企画のためのプランや発話のための構文/形態規則など領域に固有なモジュ-ル,ならびに物概念/インスタンスや環境の地理など複数の領域に共有されるモジュ-ルを作成した。 概念・エピソ-ドデ-タの作成:主人公の持つ個々の概念をフレ-ム構造で表現した概念辞書と,それらを取り巻くエピソ-ドをスクリプトで記述した知識ベ-スとを作成した。 情緒的判断を伴う問題解決:欲求本能領域で「根元的意図」を生成し,情緒性格領域で「好き嫌い」の面からプランを評価するアルゴリズムを開発し,問題解決においては知性と感性の協調が重要であることを検証した。 文章生成アルゴリズムの開発:心のダイナミックスを基礎にして,主人公の心理的/物理的活動を「独白」するアルゴリズムを開発した。 アニメ-ションの生成:主人公が認識するイメ-ジ系列をまずアニメ-ションで表現するため,単位動作の系列を生成するアルゴリズム,および表示の際にカメラを設定する方式について検討を行った。
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